なぜ大台町行きを決めたのか、理由を思い出した出来事
5年ほど前から実行委員会の委員としてかかわっている埼玉県草加市のお祭り。
前々から「ドローンで撮影してくれ」という依頼はあったのですが、「イベントの飛行許可を取るのが大変なんですよ。」と言って断ってきました。
しかし、今年になって国土交通省の飛行許可が中央から東京、大阪等に移管されるに伴いイベントの飛行許可も包括で取れるようになり、私もイベントの飛行許可を申請しました。先日(8/27)の大台町水上カーニバルに合わせて許可を取りました。
この許可は1年間有効なので、10/1の草加宿場まつりでも使えるなぁ、という話を実行委員会の中でしたところ、祭りの実行委員会事務局長が「やりましょう、やりましょう」とノリノリで話が進みました。
それから地元警察、市役所に説明を行いました。
私の使用しているドローンはDJI社のPhantom 4 Pro。歴史がありベストセラー製品。
その製品を選んだ理由はずばり実績に基づいた製品としての完成度。数々のトラブル、そしてその分析によって搭載された安全機構が充実していること。
飛ばすことが目的ではなく、撮影することを目的としている空撮の場合は、撮影に集中したいため、なるべく飛行に関しては機体にお任せしたいところ。Phantom 4 Proは空撮用以外のカメラとして、前方、後方、下方、横方、6台のカメラを積んでいます。ビジョンセンサーシステムと言って障害物を検知したり、機体を安定してホバリングさせる時に使われています。重要なシステムは何らかのトラブルに対応するため冗長化されています。
例えば、
・操縦士が操縦スティックを離したら普通のドローンは風に流されて壁に激突してしまいます。操縦士は機体の状況を見ながら細かくスティックを操作し続けなければなりません。しかしPhantom 4 Proは下方カメラセンサーにより地面の模様を解析していて操縦スティックの操作が無い場合はその地面の上空にピタっとホバリングするようになっています。
・電波障害で機体と送信機の通信が切れた場合、自動で離陸した場所に戻ってきて上空30m(設定可能)でホバリングしています。ホバリング状態で通信の回復を待ち、回復したところで安全に機体を下ろす。
と言った機構です。
それでも2度墜落させた経験者としては、その反省をもとに、製品を過信せず、人間がやるべきところと機体に任せるところを常に考え安全飛行を心がけております。
お祭りでは人の頭上を飛ばす可能性が出てきます。安全飛行は当然ですが、危険だと思ったら飛行しないという選択肢。
そして、今回の祭りではドローン空撮を行っているドローン仲間に野次馬整理の警備員を依頼しました。警備員は普通にバイトとかでも良いのですが、やはりドローン経験者でドローンの危険性を熟知している人でないと、興味本位で寄ってくる人々の整理は難しいと判断。
ドローン離着陸場所はカラーコーンで仕切り、人が入ってこれないようにする。
と言った感じで、警察、役所の担当者に話をしました。その時は「国交省の許可も出ているのなら、問題ないでしょう。」と話しが進んでいったので、こちらも人の手配やら準備を始めました。スケジュール確定と補助員を増やすようにと警備員を依頼するドローン仲間にメールをしたところで、役所担当者から電話が、
「あのー、上司に説明して市長のところに行ったところで却下になりました。やる必要性が見いだせないということと実績不足、準備不足で時期尚早ということで。」
まぁ、役所としては至極真っ当なご反応。。。
現場としては実績が無いから新しいこととしてやりたいし、それによってモチベーションが高まるのだけど。
警備員を依頼していたドローン仲間に体制のバラシをメールすると、すぐに電話がかかってきて
「だよねーーーー!!!!、役所の担当者が説明して、頭からダメダメ!って却下する場面が目に浮かぶぅ。」と大笑い。
ある程度予想はしていたことなので怒る気にもならない。
逆に三重県大台町に行く目的を再確認したような。
実はこのような思いをしたのは今回だけではありません。
何時間もかけて説明資料を作り、何度も足を運んで説明し、デモンストレーションを行い、最終的に却下。ということは過去に何度もありました。
大きな案件で大きな収益が見込めるならばそれでも良いですが、採用されたところで大きな収益になるわけでもない。最初はかけた時間に見合わなくてもコツコツ実績を積んで何年後かにやっと大きな収益になる。。。なんて悠長なことを言ってられないフリーの身では、どこで見切りをつけるかが問題でありまして。
正直、この草加市の案件が順調に進んでいる時は「あれ?なんで大台町なんか行くんだっけ?」なんて一瞬よぎったこともありましたが、役所担当者の却下連絡をもらった時、一瞬で夢から醒め。。。だから大台町に行くのだ。と自分の歩く道を思い出した感じでした。
大台町というのは私にとっては未知であり、東京でできなかったことが大台町でできるのか?不安は多いにありますが、「わけわからんから、とらえず却下!」という人はいないのかな、と期待しております。最近何度か往復してみて、やっぱり遠いなぁ、と思い始めたところだったのですが、遠いと感じたらこの草加の出来事を思い出して「この遠距離が重要なのだ」と自分に言い聞かせよう。そして大台町で一から頑張ってみよう、と思ったのでした。